看護の知恵袋:感染対策のツボ新型コロナウイルス感染者の自宅療養について
【Vol.167夏号】2021年8月10日
新型コロナウイルス感染者(以下「感染者」)が増加することで、医療が逼迫しベッドが不足する事態となります。それにより、本来は入院するべき感染者が自宅療養となり、家庭内での感染拡大や急変対応への遅れといった問題が生じます。今回は、自宅療養時の感染対策等について紹介します。(2021年5月15日時点)
【ツボ1】家庭内での感染拡大を防ぐ
感染者と感染者の世話をする同居者は、以下のことに注意してください。
1.空間や物品を分ける
- 同居者とは部屋を分けて過ごすか、部屋を分けることができない場合はカーテンや仕切りで区切ります。
- 自室から出るときは、マスクを着用し手洗いやアルコールによる手指消毒を行います。
- お風呂の順番は最後とし、使用後は浴室内をシャワーで洗い流し、窓を開け換気を行います。
- 食事は別室でとり、食器も使い捨てのものがよいです。食器を共用する場合は、食器用洗剤でよく洗えば大丈夫ですが、気になるようなら0.05%次亜塩素酸ナトリウムに10分間浸漬消毒します。
- 洗面所のタオルは共用せず、できればペーパータオルを用いたほうがよいです。歯磨きでの口すすぎ時は、洗面台周囲へ飛散しないよう注意します。
2.感染者の世話をする人を限定する
- 世話をする人は一人とし、基礎疾患のある方や妊婦はなるべく避けます。
- 世話をするときはお互いにマスクを着用します。
- 清拭や排せつ物の処理時などは、手袋やプラスチックエプロン(大判ゴミ袋も可)を使います。
- 感染者の部屋から出たあとはすぐに手指衛生を行い、マスクもその都度袋に入れて捨てます。
- 世話をする人も毎日の健康観察を行い、発熱や症状がないかを確認します。
3.日中はできるだけ換気をする
- 感染者の部屋、同居者の部屋をそれぞれ別々に、1時間に1回~2回、5~10分程度窓を開けて換気をします。
4.手のよく触れる共有部分を清掃・消毒する
- 部屋のドアノブ、照明のスイッチ、リモコン、洗面台などを、1日1~2回、アルコールや0.05%次亜塩素酸ナトリウムで清拭消毒を行います。トイレは使用するたびに手や体が触れる場所を消毒します。
- 消毒時は使い捨て手袋を着用し、終わったら手袋を外し手指衛生を行います。
5.リネン、衣服を洗濯する
- 汚れがない場合は、通常の洗濯でかまいません。喀痰や排せつ物などがついている可能性がある場合は、80℃・10分以上の熱湯消毒後に通常の洗濯を行います。気になる場合はほかの人と分けて洗濯します。
- 加熱式の乾燥機にかけることも有効です。
- 色落ちが気にならないものであれば、0.05%次亜塩素酸ナトリウムで浸漬消毒します。
6.ごみは密閉して捨てる
- 唾液や鼻水のついたティッシュや、感染者の世話で使用したものを捨てるときは、ビニール袋にいれて空気を抜いて口を縛ります。気になるときは袋を2重にします。作業後は手指衛生を行います。
【ツボ2】自宅療養者への支援
自宅療養者に対しては、保健所が中心となり以下の支援体制をとっています。詳細は保健所へ確認してください。
- フォローアップ:健康状態の把握(電話連絡やパルスオキシメーターの貸出)、症状に応じた医療機関受診など。
- 生活支援:単身者等への配食サービス、衛生用品や健康管理に必要な備品の配送など。
- 自宅療養の解除:症状や発症からの期間等から、保健所が判断します。
(編集:東予感染管理サークル)
東予感染管理サークル(Toyo Infection Control Circle:TICC)は、地域の保健医療福祉施設における感染管理教育の支援を目的として、東予地域に在籍する有志の感染管理認定看護師によって感染対策セミナーを中心とした活動を行っています。