看護職を目指す皆さま看護師になるには
看護師とは
看護師の仕事は、傷病者や妊産婦の療養上の世話をしたり、診療の補助を行うこと。“人を看る”という看護師独自の視点で、対象となる人を身体や精神、社会、文化などさまざまな側面から捉え、情報を総合的にアセスメントし、必要な看護を的確に判断します。病院や診療所などの医療機関のほかに、訪問看護や福祉関連施設など、人々の生命と生活を支える専門職として、看護師が活躍する場はどんどん広がっています。
今後もさらに高齢化が進むため、これからの医療を支えるためには看護師が多様な場でさらに役割を発揮することが期待されています。
資格が生かせる場
病院・診療所/訪問看護ステーション/介護保険施設/介護福祉施設/社会福祉施設/教育機関/企業/研究・開発機関/官公庁・職能団体/国際機関など
(日本看護協会「やっぱり看護のシゴト」より)
看護師になるまで
このほか、都道府県知事免許の「准看護師」があります。准看護師は看護師学校養成所(2年)を修業することにより、看護師国家試験受験資格を得ることができます。
※1 保健師・助産師の教育プログラムがある大学では、看護師に加えて保健師・助産師の国家試験受験資格を得ることができます。
先輩インタビュー
学生編
看護師を目指す学生にインタビューしました。
学生Aさん
- 看護師になりたいと思ったのはなぜですか?
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幼い頃に祖父が訪問看護を利用していたため、身近に看護師と関わる機会がありました。看護師の方々は、祖父だけでなく私たち家族に対しても常に明るく接してくださり、祖父を含め家族みんなが明るい雰囲気でした。その頃から看護師という職業に対して憧れを持ち始め、その後将来について考えた際に、私自身世話好きであること、人と関わることが好きであることから看護師として人の役に立ちたいと思ったからです。
- どんな看護師になりたいですか?
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患者さんの立場にたって考え、笑顔で親身に寄り添える看護師になりたいと思っています。一人ひとり患者さんに向き合い、不安の軽減に努めたいです。受容・傾聴・共感の姿勢を意識し、また正確な知識と技術を身に付け、臨機応変に対応できる看護師になりたいです。
- 実習で印象に残っていることはどんなことですか?
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抗がん剤治療を行っている患者さんを受け持たせていただきました。数日間の一時退院が決まり、自宅に帰ったら「◯◯を食べたいのよ」や「◯◯に行きたい」ととても楽しそうに話されていましたが、急な発熱により中止になってしまいました。しかし、患者さんは辛い表情は見せず、明るく接してくださいました。
ある時、看護師の方と私で訪室する機会がありました。その看護師さんは、患者さんの手を握りながら「辛いよね」、「帰るのずっと楽しみにしてたもんね」と共感的態度で接していました。すると患者さんは涙を流しながら、「今が一番辛いです」と言われていました。
私は、今まで患者に寄り添う看護といっても漠然としていました。しかし、この場面に立ち会い、患者さんの表面的な表情や発言だけを見るのではなく、隠れている本音に視点を当て関わることが患者さんに寄り添うことであると学びました。
学生Bさん
- 看護師になりたいと思ったのはなぜですか?
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高校生の時に障碍者福祉施設にボランティアに行きました。そこで利用者さんの目線に立って親身になって接している看護師に出会ったことがきっかけで看護師になりたいと思うようになりました。
- どんな看護師になりたいですか?
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患者さんと同じ目線に立てる看護師になりたいです。患者さんにとってのゴールは病気を治すことだったり、退院することだったり、病気と向き合いながらその人なりの生活を送ることだったりと、人によって違うと思いますが、患者さんの目線に立って一緒にゴールに向かって頑張れるような看護師になりたいです。
- 実習で印象に残っていることはどんなことですか?
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癌を告知されて、初回化学療法を始めたばかりの患者さんを受け持ちました。その方は毎日「死にたい」「死のうか」と言われていました。私は返答に戸惑い、実習指導者に相談しました。「患者さんが辛い思いを表出できるように、話を傾聴することが大切だよ」と助言をいただきました。それからは毎日患者さんのそばで話を傾聴しました。実習最終日には「近くに話しやすい人がいてよかった」と言っていただきました。後で自分の看護を振り返って文献で調べた時、死んでほしくないと言う自分の“思い”を伝えることもできたのではないかと感じました。この経験から、実習をしていく中で毎日振り返りをしながら、患者さんと関わっていきたいです。
学生Cさん
- 看護師になりたいと思ったのはなぜですか?
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私は元々養護教諭になりたくて看護学部に入学しました。領域別実習の際、患者さんの「もう日々の楽しみはお風呂とご飯とリハビリしかない」という言葉を聞き、自分が当たり前だと感じている日常生活も誰かにとっては特別でなんだと思うと悲しくなり、すべての患者さんに当たり前の生活を当たり前に過ごしてもらいたいと思い、看護師になろうと決心しました。
- どんな看護師になりたいですか?
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患者さんの強みに着目し、患者さんの頑張りを素直に認め肯定できるような看護師になりたいです。どんな時でも患者さんの良き理解者となれるような暖かい看護師を目指しています。
- 実習で印象に残っていることはどんなことですか?
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精神看護学実習で、統合失調症による幻聴のある、知的障害の10代の患者さんを受け持ちました。症状の辛さを上手く言語化して表出できない人だったため、『今の辛さを、頓服薬を飲む時の辛さを10として、0~10で表すとどのくらいか』で表すよう提案しました。その結果、本人の症状の自己理解にも繋がり、「おかげで気持ちが落ち着いた、ありがとう」と言ってもらえたことが印象に残っています。
学生Dさん
- 看護師になりたいと思ったのはなぜですか?
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私が医療職に興味を持ったのは小学生の時に見ていた医療ドラマです。たくさんある医療職の職種の中で、患者さんにより近い立場で人を助ける仕事をしたいと思い、看護師になろうと思いました。
- どんな看護師になりたいですか?
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私は、患者さんに寄り添った、患者さんに安心感を与えることができる看護をしたいと思っています。理想とする看護師像に近づくことができるよう、何事にも一生懸命に取り組み、医療知識・看護技術をしっかりと身につけていきたいと思います。
- 実習で印象に残っていることはどんなことですか?
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私が実習で印象に残っていることは、受け持ち患者さんに看護ケアをした際に「ありがとう」と笑顔をいただいたことです。実際に看護過程を展開していき、生の反応をいただくことでやりがいを感じました。
学生写真
※十全看護専門学校提供
看護師編
現役看護師にインタビューしました。
看護師Eさん
私は、現在「回復期リハビリテーション病棟」で働いています。リハビリテーションを必要とする、脳血管・整形疾患などの病気を持つ患者さんが入院されており、入院期間は3~6ヶ月と長期間になることが多く、自宅退院・社会復帰を目指したリハビリテーション看護を行っています。
私は、摂食・嚥下チームのリーダーとして、摂食嚥下障害のある患者さんに対して、嚥下訓練の提案・実施、食事形態・介助方法を工夫して、患者さんが食事を安全に楽しめるよう活動しています。
リハビリテーションを進めていくには医師・療法士・薬剤師・介護士・医療ソーシャルワーカーなど、さまざまな資格を持つ医療スタッフが連携してサポートするチーム医療が重要です。その中でも看護師は、常に全体を把握して患者さんと他職種との橋渡し役として必要な存在だと感じています。
急性期とは異なり、長期の入院期間中に様々な疾患を持つ患者さん一人一人とじっくり、ゆっくりと関わることができます。また、精神的・身体的支援を行いながら、患者さんが自宅退院・社会復帰(復職・復学)していく過程に携われることに、よろこび・やりがいを感じています。
専門看護師Fさん
現在、私は病院で慢性疾患看護専門看護師として、糖尿病や腎臓病などの病気をもつ患者さんの支援を行っています。慢性疾患をもつ患者さんの治療は長期にわたり、病気をもちながらの生活は多くの困難に直面します。しかし、患者さんは困難を乗り越える力を持っています。私はそのような患者さんのもっている力が発揮できるよう、患者さんの思いを理解し支援しています。専門看護師としてのやりがいは、患者さんの入院から外来通院まで継続してかかわることができることです。外来で病気とともに生きている患者さんと会うことで、私自身も元気をもらいます。
専門看護師は看護師としての経験を積んだあと大学院を修了し、認定試験に合格することで資格が得られます。私は患者さんのことをもっと理解したいと思い、大学院に進学しました。大学院での勉強は大変なこともありましたが、その学びがあったからこそ、患者さんがもっている力は何かと考えながら支援することができていると思います。
これから看護職を目指そうとしている皆さん、看護師はつらい経験をすることもありますが、患者さんや同僚、多職種とかかわりながら自分自身の力も発揮できる、やりがいのある仕事だと思います。
認定看護師Gさん
私は、現在、病院の「感染管理」の仕事を行っています。新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、院内感染管理の重要性と難しさを改めて考えさせられ、試行錯誤の日々が続いています。院内外のいろいろなところにアンテナを張って、院内で困っている事は起こっていないか、地域の現状・国内の最新情報はどうなっているのか情報収集を行い、院内の感染管理に還元していくことが私の役割だと思っています。
感染管理の仕事を始めて、信頼関係構築の重要性をより感じます。いろいろな職種の方とのコミュニケーションを通して、相手の考えや困っている事を知り、情報交換や意見交換を繰り返すことでお互いの信頼に繋がります。
看護師はいろいろな職種や家族との架け橋になる事が多い職種です。そのため「聴く」という姿勢を大事にいろいろな人と関わってほしいと思います。また、信頼を得るには知識や技術も必要です。自分のペースで学び続け、「やってみたい・深めてみたい」と思う看護領域を一つでも見つけて強みにしてほしいと思います。学び続けることは大変ですが、その積み重ねが自信に繋がり、「あなたの目指す看護師」に成長できると思います。
写真
先輩の1日
病棟勤務看護師の日勤スケジュール
※勤務:8時30分~17時15分の場合
看護記録看護師が見聞きしたり行なったりしたことは、記録します。
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8時30分
業務開始
情報収集・担当患者のケアの準備 患者様の1日のスケジュールを把握して、必要な物品・検査の必要物品を揃えます。
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8時50分
医師と治療についてカンファレンス 治療の計画や変更点など医師と看護師・または他の職種の人と話し合いを行います。チームで話し合いを持つこともあります。
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9時30分
清潔ケア(体を拭く・髪を洗うなど)
処置・検査・点滴投与 -
10時
検温(体温・血圧・脈拍測定など)
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12時
食事の準備や介助
内服薬の確認お昼休憩
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13時
チームでのカンファレンス
(栄養チーム・褥瘡チーム・認知症チーム・摂食嚥下チームなど)家族面会:患者・患者家族と治療・ケアの情報共有 家族を交えて、今後の治療や退院の計画をたてるために情報を共有します。
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15時
ベッド周りの整理
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16時
翌日の処置・点滴・内服薬を確認 24時間通じて、患者様の治療や日常生活援助がスムーズに行えるよう準備します。
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17時
次勤務者へ引継ぎ
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17時15分
業務終了